毎週のシャンプーは皮膚や体調にいいの?
かかりつけ医から脂性の乾燥肌という診断をうけ毎週シャンプーをしてケアをしています。
体力が持たないのか、シャンプー後にとても疲れた様子になるので心配です。
シャンプーした当日の夜から数日は、身体をかゆがることが続きます。
安定した頃にまたシャンプーをするというサイクルです
体調や皮膚にとって、本当に良いものなのかが分かりません。
皮膚は体の窓
病気が隠れているという疑いをもった視点から回答させていただきます。
重度の皮膚炎を起こしていると考えられますが、食事は何を与えておられますか?
動物病院で処方される療法食(アレルギーフード)でしょうか?食事以外に、何かおやつなどを与えていませんか?(野菜や果物も含みます)
「皮膚は体の窓」ともいわれています。
健康診断で、肝臓や消化管などの内蔵に異常はなかったでしょうか?
免疫状態にも気を配る必要があります。
キャバリアさんなので、先天的に心疾患である可能性があります
心臓の健康管理はされていますか?
疲れやすいのは年齢のせいだけでなく、心臓の弁膜症や甲状腺機能低下症の可能性もあります。
また、人でいう更年期障害の一因である、ホルモンの不均衡(甲状腺ホルモンも含む)も考える必要もあります。
(女の子で、卵巣子宮摘出術をされていなければなおさらです。)
脂漏性皮膚炎と疲れやすいことから、甲状腺機能低下症を疑います。
甲状腺検査は異常なかったでしょうか?
もし、甲状腺検査を受けられたことがないのであれば、かかりつけの動物病院でT4、FT4の検査をご相談ください。
14歳という年齢から、心臓への負担や体のバランスが崩れているため疲れやすいのかもしれません。
心臓の検査は超音波検査がお勧めですが、飼い主さんが客観的に評価できません。
そのため、心臓にどれくらい負担がかかっているかを知る血液検査があります。
(心臓の重症度を知るものではありません)
心臓バイオマーカーといわれる NTproBNPやANPという検査です。
外注検査になりますので、どの動物病院でも検査は可能です。
また、ユビデカレノン(医薬品・酸化型)=コエンザイムQ10(サプリメント・酸化型/還元型/水分散型)は抗酸化物質であるとともに補酵素で、心臓のみならずすべての細胞の活性化に必要なものですので、心臓や慢性皮膚疾患、脱毛症に効果が認められています。
シャンプー後のかゆみ
獣医師から処方されたシャンプー指導された方法で行っていますか。
脂漏性の乾燥肌は、乾燥性の乾燥肌よりもさらに皮膚バリアの障害が悪い状態です。
皮膚バリアほぼ崩壊しているため、普通の状態なら問題のない常在菌の細菌や酵母が増え感染状態になりやすく、かゆみが生じます。 また、年齢などからも免疫機能が落ちることで、さらに感染や症状を助長してしまいます。
今使われているシャンプーが、その子の皮膚にはあっていない可能性もあります。
もしくは、シャンプーをすることで脂漏は改善しますが、皮膚を守るために脂が染み出ている状態の脂をとることでバリアをさらに取り除いてしまうことになっているのかもしれません。
動物病院では、各医薬品メーカーの多種の脂漏性のシャンプーを取扱っております。
・シャンプーの種類を変えること
・シャンプー後にきちんとした保湿・保護を行うこと
今のシャンプーが合わないと思われるのであれば、上記2点についてかかりつけの動物病院でご相談されてみてはいかがでしょうか。
また、セカンドオピニオンをご検討されることも一つかと思います。
シャンプーの仕方
参考までに、基本的なシャンプーの仕方を紹介させていただきます。
① 水温は25℃から30℃以下
② こすらないようシャワーで充分にかけ流し水洗し、本人がしんどそうでなければ沐浴をしましょう。
(動物病院等で導入されていれば、オゾン微細気包水の使用をお勧めいたします)
③ ご家庭でシャンプーをされ、沐浴が可能であれば、炭酸泉浴(クエン酸と重曹で簡単にできます)をお勧めします。
(心臓にも、皮膚にも負担が軽くなります)
注意点
・ごしごし洗わない
・かけ流し
・10分が目安、15分を超えない
炭酸泉の作り方(温度が低いほうがいいため 25度前後で)
・水50ℓ
・クエン酸 50g
・重曹 65g
お水に加えましょう。
炭酸泉浴が大変であれば、シャンプー時に水300ccに対しクエン酸0.3g 重曹 0.4gを加えて混ぜ、すぐにシャンプーをしながら前身に泡立てながらマッサージをしてください。
④脂漏性のシャンプー
(例えば、乳酸エチル(重度~中程度)サリチル酸/ティーツリーオイル(中程度~中程度)タール、二硫化セレン、中医学、その他抗脂漏シャンプーがあります。) 適量
※各シャンプーで異なりますが、一般的には500玉1個分が目安です。
・よく泡立てて ”泡”でもふもふ洗ってください。
・ごしごし洗いは厳禁です。
・最近はやりの、”摩擦レス―” です。
ちょっと極端ですが、優しく指や掌でなでるようにマッサージしてあげてください。
疲れないように気を配りながら、5分以上泡でマッサージをしましょう。
例:体2分、各足1本45秒 を目安になど、(約5分)
もし、脂が多く泡がすぐになくなるようであれば、一度洗い流して、再度泡を作って泡マッサージをしてください。
(ずっと立たせておく必要はありません。お座りでも大丈夫です。)
⑤ 25℃から30℃の温度のぬるま湯のシャワーで、かけ流しをしてください。
決して、皮膚をごしごししながら流さないでください。
シャワーをまんべんなく、体にかけ泡を十分にすすいでください。
⑥ 可能であれば、炭酸泉のかけ流しをしてあげてください。
⑦ 保湿剤のスプレーもしくはムーズ
(各製薬会社から発売されています。もしくは、ベビーオイルを一滴入れた沐浴)
⑧ 水分を落とし(毛を軽く絞るように)、タオルドライ(タオルを押し付けるようにして、ごしごしこすらないように)で、充分に水分を拭き取ってください。
⑨ ドライヤーは冷風で使用しましょう。
なるべく温風を使わないようにしましょう。
どうしてもの場合は 可能な限り温度が低いものを使うようにしてください。
乾いたタオルで毛を挟み、水を吸い取るようにすると少し早く乾燥させることができます。
絶対にドライケージや乾燥室は使わないでください。
(一部の動物病院やトリミングショップは使用していますが、すべてのわんこにお勧めできません。特に心疾患のある場合は禁忌です。)
⑩ よく乾かしてから、製薬会社から発売されている保湿系のローションなどを塗布しましょう。
皮膚の管理として 使用するものは獣医師と相談し、指導・処方していただいてください。
総合的にアプローチ
皮膚や被毛は蛋白質と必須脂肪酸を必要とします。
14歳ということで、蛋白制限や低脂質の食事になっていないでしょうか?
心臓疾患や他の理由で、蛋白制限食や低脂質食を与えておられるのであれば、必須アミノ酸類・必須脂肪酸を食事に補充してあげる必要があります。
慢性脂漏の場合、食事が原因の可能性(アレルギーも含め)も否定できません。
食べ物の管理はとても重要です。
人の食べるものや、おやつを与えておられるのであれば、症状が改善するまでは完全休止されることをお勧めします。
食事性のアレルギーが潜在的にある場合、改善するまでには2ヶ月の徹底的な食事管理が必要です。
食餌性アレルギー用の療法食、犬アトピー性皮膚炎用の療法食は多種ありますので、獣医師の指導の下でお使いください。
上薬研究所のサプレットPROは,霊芝や田七人参等を配合して、健康を維持することにより、免疫、ホルモンバランスの調整、活力の補助が期待できます。
一度試されてみるのもよいでしょう。
いずれにせよ、皮膚だけの問題ではなく、全身の問題ととらえ、総合的にアプローチされることをご検討いただくこといいと思います。
アイン動物病院 院長 美濃部五三男先生
麻布大学獣医学部卒業/麻布大学獣医学部附属家畜病院研究生
大阪府獣医師会学校飼育動物推進委員会・狂犬病予防対策推進委員会
1988‐1994 ダクタリ動物病院
久我山センター病院、大橋病院、堺病院(関西医療センター)勤務
1995 アイン動物病院 南千里病院 開院