長時間の散歩は関節に悪い?【獣医師監修】

獣医師監修

ペットの悩み・ 疑問 獣医師がお答えします

病院に行くほどではないけれど「ちょっと聞いてみたい!」「これって大丈夫なのかしら?」と思うことがありませんか?
飼い主様のペットのお悩み、疑問に獣医師がアドバイスいたします。

毎日の散歩が2時間、関節を痛めたりしませんか?

トイプードル(3歳)を飼っています。
散歩が大好きで、毎日2時間くらいのコースを歩いています。
トイプードルは関節が弱いと聞きました。
歩きすぎて関節を痛めたり、疲労骨折したりしないかと心配しています。
長時間の散歩は関節に影響がありますか?
(東京都 プーちゃんの父さん)

散歩している様子はどんな感じですか?

毎日2時間も時間を割いてあげられるなんて、とても幸せなワンちゃんですね。
心配なさっているのは関節と散歩時間のことですね。
トイプードルは、膝蓋骨脱臼や大腿骨頭壊死などの関節疾患もありますので気になります。
散歩中の様子はどうですか。

散歩中に 7つの観察
①自分から散歩に行きたがっていますか?
②歩く様子に異常はないですか?

③足取りは軽快ですか?
④散歩中は歩いていますか?走っていますか?
⑤休みながら?ずっと歩き続けていますか?
⑥歩くコースはどうでしょう?
 坂道?平坦?舗装道路?砂利道?芝生?土?砂?・・・
⑦ご自宅の玄関に入る時の足どりは軽やかですか?疲れ切ってはいませんか?

もし、足に負担のない道を休みながら、ゆっくりとしたペースでワンちゃんが楽しそうに歩いている状態であれば問題は少ないかもしれません。
砂利や砂で埋まりそうな道、固いゴツゴツとした道、坂道や階段を休みなしで全速力で駆け抜け途中から足の動きが悪くなり、もう帰ろうと抱っこをせがむような、そんな散歩だと過酷ですよね。
帰り道が軽やかで、家に入っても足を痛がらない。帰宅後、軽く寝てすぐに元気になり、食欲も十分あるのであれば、その子にとっては適切な運動かもしれません。
一般的に、小型犬であれば、1回30分ほどでいいと言われています。
2時間の散歩は長く感じますが、散歩の様子によりますので、よく観察してください。

栄養管理も忘れずに!

沢山運動するには、適切な栄養管理も必要です。
関節を守るためにはしっかりとした筋肉、適切な筋肉量を維持するためには、動物性タンパク質をしっかり含む食事が大切です。
関節のためのコラーゲンやコンドロイチンなど、骨格を作るためのカルシウムや、ビタミンDなど運動によって消費されるビタミンB群、抗酸化のためのビタミンC、E、カロテン、全身に酸素を運ぶための鉄分すべてちゃんと足りていますか。
アスリートのように沢山運動をするのであれば、ドライフードだけでは足りないかもしれません。
関節を守るためのサプリメントも必要になるかもしれません。
関節や筋肉の状態、体重、食事内容など実際にカラダを診てもらわないと状態が分かりません。

気になる様子があれば、定期的に健康状態を動物病院で確認してもらうと安心です。
そのときは、散歩中の動画を持参すると獣医師が分かりやすく、アドバイスがしやすいと思います。

なにをしてあげたいかを考えてみましょう

ここで一番大事なのは、ワンちゃんとの生活の中で、なにをしてあげたいのかというこです。
ワンちゃんが喜ぶので、散歩をたくさんしてあげたい。
それなら定期的に健康診断を受けたり、栄養に気をつけたりしながら散歩中もよく観察して、休憩しながら楽しくお散歩をしてください。
その一方で、関節疾患が気になるようであれば長時間の散歩ではなく、楽しいトリック(※1)を憶えさせたり、ノーズワーク(※2)や、クリッカートレーニング(※3)のように、頭を使った遊びを取り入れることもおすすめです。

  • ※1 トリックとは、しつけ(芸)のことをいいます。 「お座り」「待て」「お手」などの基本的なことから、「ゴロン」「ハイタッチ」など少し難易度が高くなることまで、さまざまです。 カラダと頭を使うため、運動不足の解消や高齢犬の認知症予防などにも良いとされています。
  • ※2 ノーズワークとは、犬の嗅覚を活かしたトレーニングです。箱などにおやつを入れて、どこにおやつがあるのかワンちゃんに探してもらいます。幼少期から高齢期、どんなワンちゃんでも楽しむことができ、コミュニケーションがとれます。
  • ※3 クリッカートレーニングとは、しつけや芸のトレーニングで使われる道具のことです。 ボタンを押すと「カチッ」と音が鳴るもので、動物に行動を教えることが簡単になります。ドッグトレーナーやペットともっとコミュニケーションを取りたいと考えている飼い主さんなどが利用しています。怖がりなワンちゃんは、優しい音が出るタイプのクリッカーがおすすめです。

まとめ

散歩中の様子をチェックしましょう
食事の栄養管理をしましょう
気になる様子があるときは、動物病院へ相談しましょう
散歩以外でできる遊びを取り入れましょう


上原愛童 先生 あまみ動物病院院長 
北里大学大学院修士課程修了

所属学会・勉強会
比較統合医療学会/日本医療・環境オゾン学会/日本獣医皮膚科学会/獣医アトピー・アレルギー・免疫学会/日本獣医ホメオパシー学会/日本獣医動物行動研究会/新潟小動物臨床研究会/行動学研究会白樺/日本ペット中医学研究会

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